2023年の上場企業の増減状況まとめ
2023年1年間の各市場における新規上場、上場廃止など、上場企業の増減状況を集計しました。
2023年の上場企業の増減推移
2023年は144社の新規上場があり、76社が上場廃止になりました。証券取引所別にみると東証一人勝ちの状況が続いています。
市場別に見ると、上場企業数はグロース>スタンダード>プライムの順になっており、上場基準が厳しいプライムよりも、勢いのある新興企業が上場しやすいグロースへの上場が目立ちます。
その他特筆すべき点としては、市場変更による各市場の動きが激しく見えますが、これは2023年10月に市場再選択によってプライムからスタンダードに移行した会社が177社あったことが大きな理由です。
2022年4月に東証の市場再編があった際、本来はプライム市場の上場維持基準を満たさない多くの企業が経過措置としてプライム市場への上場を選択しましたが、その後東証は2026年3月末まででこの経過措置を終わらせることを発表しています。
10月に移動した177社の多くはプライムでの上場維持を諦め、実態にあった市場への移行を選択したものと見ることができます。
また、一般投資家は売買できないTOKYO PRO Marketの新規上場が32件と増えてきており、同市場の上場企業数は2023年の1年間で約1.5倍になりました。
2023年に新規上場した企業の所在地別集計
次に、新規上場企業を都道府県別にまとめてみました。
2023年は23の都道府県の企業が上場しました。
やはり既存の上場企業数の上位3都府県である東京都、大阪府、愛知県が順当に増えている状況ですが、
4位の神奈川県は昨年は2社だけで、京都府、福岡県の上場が多い年でした。
2023年に新規上場した企業の業種分類別集計
続いて業種分類別の集計です。
2023年は33業種中19業種で新規上場がありました。
こちらも既存上場企業の傾向と大きくは変わらず、情報・通信業、サービス業、小売業が上位を占めました。
傾向として少し興味深かったのは業種別1位の情報・通信業からは東証プライムの新規上場が1社もなかったことです。
想像するに、情報・通信業には勢いがあるものの、最初から上場基準の厳しいプライム市場の基準を満たすことは難しいため、
まずはグロース市場に上場し、ゆくゆくプライムを目指す企業が多いのではないのでしょうか。
2023年に上場廃止した企業の廃止理由別集計
最後になりますが、2023年に上場を廃止した企業について見てみました。
新規上場と同様に、都道府県、業種分類別の集計もしてみましたが、特筆すべき傾向が見えなかったので掲載は割愛します。
上場廃止は市場からの退出と言えばそれまでですが、
新規上場以上に株主との関係などで複雑な理由があることが想像できるため、
今回は上場廃止理由を集計してみました。
1位が株式の併合、2位は株式等売渡請求による取得、3位が完全子会社化となり、この上位3つで58社(2023年に上場を廃止した企業の76%)となりました。
上場廃止した企業の多くは後ろ向きな理由で市場から退出したわけではなく、
支配株主の戦略的意図の中で、いわゆるスクイーズアウトによって上場廃止となった会社が多かったと見ることができます。