ウインテスト株式会社に関する継続企業の前提に関する注記情報

半期報告書-第33期(2025/01/01-2025/12/31)
(継続企業の前提に関する事項)

 当社グループは、前連結会計年度において、前々年度から続いている半導体のダブつきと民生半導体の需要減による工場稼働率の低迷が長引いたことの影響を受け、売上・受注時期がずれ込み、売上高は417,090千円となりました。また、資産の健全性を確保するために棚卸資産の評価損を計上したことに伴い、売上原価が増加し、営業損失1,083,829千円、経常損失は1,094,080千円、親会社株主に帰属する当期純損失1,105,888千円を計上いたしました。また、営業キャッシュ・フローは、662,304千円のマイナスとなりました。

 前連結会計年度においては、AI関連半導体が集中する米州が前年比45.2%増と突出した成長となり、1,951億2,300万米ドルに達したのにひきかえ、非AI領域市場に偏重する日本を含むアジア、欧州の成長は前年比8.1%減と伸び悩みました。この状況を受け当社の注力する中国・台湾市場においては、多くの半導体製造工場で生産調整から新規設備投資を凍結しておりました。当中間連結会計期間においては、1月から6月において(主に2025年1月から3月の半ば頃から)多くの半導体生産工場は、生産調整を終了し正常化に向けて装置稼働率も順次上昇しております。当社としては、このように装置稼働率が戻りつつあることを受け、4月から6月にかけて半導体市場の本格回復を期待しておりましたが、半導体製造工場各社の製造装置稼働率の状況は、力強さに欠け新規設備投資には依然として慎重な姿勢が崩れず、未だ様子見の状況が続いております。2025年6月のEETIMES社の分析(データは世界半導体市場統計「WSTS」)によると、2025年の半導体市場は2桁成長が期待されるものの当社が所属する「非AI領域」は地政学リスクの影響が色濃く弱含みとの予測が続いております。2025年度の半導体市況として、具体的には、世界半導体市場全体では前年比11.2%増の7,008億7,400万米ドルに達する見込みではありますが、主には生成AI関連半導体の底上げの要因となっており、一方、AI以外の分野(民生、産業、車載)においては、米国の関税政策リスクの影響も無関係ではなく、特にスマートフォンや家電、車載向け半導体の回復は国家間の政策に左右される面があるとし、通年では依然弱含みとした予測であります。そのような中、当社がビジネスを展開する市場領域における顧客の状況は、いまだ新規投資には慎重さはあるものの徐々に上昇に向かいつつあり、概ね下期以降に発売が予定される次世代スマホやPCから順次新機能が搭載されることから、工場の稼働率の正常化、新規投資が期待されつつあります。

 以上より、当中間連結会計期間の売上高は148,316千円にとどまり、営業損失376,817千円、経常損失377,165千円、親会社株主に帰属する中間純損失408,251千円を計上しております。また、営業キャッシュ・フローは、237,745千円のマイナスとなりました。

 上記のとおり、継続的な営業損失及び営業キャッシュフローのマイナスが発生している状況にあり、当社グループには継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社グループはこうした状況を早期に解消又は改善すべく、以下の対応策を継続して実施しております。

事業施策

1.市場動向と中国市場での営業活動について

 2024年度大きく期待された半導体市場の回復はAI関連の大きな躍進が目立ちましたが、上述のように当社が所属する「非AI領域」は力強さが無く低迷いたしました。各半導体生産工場の装置稼働率は昨年に比較し上昇しておりますが、上昇幅は限定的となっております。足もとの2025年1月から6月の市場の情勢としては、AI関連は順調に推移したものの、民生、産業やEVに関しては内燃機関からの移行機運の出鼻を挫くEV離れが発生、車載関連半導体までも含む各社の製造装置稼働率は大きく低迷、市場は力強さを欠き、特に新規設備投資は様子見の状況が続きました。従いまして、顧客の状況は、新規投資に依然として慎重さはありますが、上述のように次世代情報端末の発売に向け、半導体チップの需要は上昇基調にあり、工場の稼働率の正常化、新規投資の計画も顧客から少しずつ聞こえてくるなど年後半に向けて前向きな状況となりつつあります。

 当社グループが「主力装置」と位置付けるディスプレイ・ドライバーIC検査装置は、液晶パネルに使われるディスプレイ・ドライバーIC(ディスプレイに絵や文字を表示するIC)の検査に使用されており、また、それら情報機器ではディスプレイ・ドライバーICだけではなく、当社が得意とするCMOSイメージセンサーICと検査用高精度光源装置(TOF機能搭載)、制御用ロジックICなど多種にわたる周辺半導体デバイスが使われております。現状、足元では上述のように新規設備投資は足踏み状態が続いておりますが、中期的には需要も戻り更に大きな伸びが期待される分野です。

 当社市場領域においては、米国トランプ政権の関税政策等に世界が揺さぶられている状況ですが、地政学的な状況を勘案してもなお、現状においては、半導体の製造工場数や製造量で中国市場を無視できない状況です。当社としては引続き中国半導体市場をメインターゲットとした販売戦略を推し進めてまいります。新戦略として、2025年初頭から推し進めている中国の当社グループ関連企業との開発、製造並びに営業活動においてより密接に連携を取り、顧客における新規投資のタイミングを逃さず中国市場攻略を進めてまいります。

 また、当社の100%中国製造子会社「偉恩測試技術(武漢)有限公司」(以下、「ウインテスト武漢」という。)の営業体制を見直し、上述のように、当社グループ会社の営業力を活用し中国・台湾において、グループ力による受注を強化します。また、営業とアフターサポートセクションである「テスト技術部」との情報共有を促進し、より顧客に寄り添った営業活動を図ってまいります。工場運営では、現地出張を含む積極的な日本からの応援を行い、顧客対応力(クレーム解決力)の強化、更なる最終組立工程の製造品質の向上に取り組み、中国国内市場への深耕を図ってまいります。

 上述のような理由から、当中間連結会計期間においては、受注は低迷いたしましたが、当社のハイエンド主力検査装置「WTS-577SX」並びに普及版の「WTS-577SR」、そしてフラッグシップとなる3,500チャンネル越えの能力を持つ「WTS-9000」を主軸として市場攻略をしてまいります。なお、受注済み案件は下期中の売上を予定しております。

2.技術開発の強化

 先端ロジック半導体検査装置に搭載される先進機能(I/O 1024チャンネル、デジタルスピード1.6Gbps)に関しては、2024年12月のセミコンショーにて発表をいたしましたWTS-577SX、WTS-9000等に注力したため、現状一時ストップさせ、予定を遅らせておりますが、次世代LCDデータキャプチャーボードとともに2025年中に再度スタートをかけ直し、2026年度上半期中には販売の開始を計画しております。また、引続き次世代向け機能として超高速デジタルパターンスピード発生装置USDRとして4.0Gbpsを発生する高速リソースの開発は継続中ですが、2026年夏までには開発を終了し、顧客への提供を開始する予定です。

 また、新たな収益の柱を構築するための成長戦略として、AI関連分野に直接結びつき引続き、市場拡大が見込まれるシステムオンチップ(SoC)市場に進出するために、当社グループがこれまで培ってきた検査技術や画像処理技術、高精度センサー技術、データ解析技術を応用し、且つ当社並びにウインテスト武漢の技術陣に加え、当社グループ企業との開発連携を行い実現いたします。

 パワー半導体向け検査装置の市場は一時的なEV離れにより停滞気味ですが、中長期的には、今後とも安定的な伸びが期待できる分野です。現在2026年末を目途に設計と開発に日々邁進しております。

 また国内市場に目を向けると、汎用デジタル市場の検査分野、ハイエンドCMOSイメージセンサー分野、そして2027年までにデバイス検査の新たなアプローチとして注目の集まるSLT(システムレベルテスト)に対応する検査装置の開発を有力顧客との連携のもとに完了いたします。

3.隣接領域の展開と製品化

 特許である自重補償機構技術(以後、「MGC技術」と言う)を使ったトラック用テールゲートリフターについては、慶應義塾先端科学技術研究センターと共同開発を進めており、最終段階に入っております。これは、昨年に話題となった2024年問題で揺れる「物流業界」において、主流となっているテールゲートパワーリフター(重量物荷役補助装置)に代えて、モーターや油圧を利用せず安価に利用できる荷役装置としての実用化を行うものです。並びに同MGC技術を使った昇降機能付き台車の製品化を考えており、2025年10月26日に開催される全日本トラックショーに展示することを目標に開発製造を進めております。

 株式会社TAOS研究所と連携のもと進めております脈波(BCG,ECG)を利用したヘルスケア管理システムは、バイタルセンサー部分に新型のものを採用し改善を行い、病院で取る心電図相当のデータ取得を可能とするなど、検査精度の向上、分析機能の改善改良と強化を進めております。なお、一部機能につき現在最終の実装を行っており、量産の準備を行っており、8月より量産に入る計画です。ただし、当初は生産数量の関係があるため、販売方法に関しましては一部の有力代理店を通じた販売方式を考えております。

 次に当社独自で進めておりました水素ナノバブルイオン洗浄水製造装置に関しましては、2025年6月19日付「株式会社レドックステクノロジーとの開発協業開始のお知らせ」にてお知らせいたしましたように、同社の特許技術が入った高性能電解槽を当社装置に使った新バージョンに移行し、大幅に精製能力と洗浄水の品質の向上を図ることができました。現在製造体制(量産)の整備を計画しており、遅くとも下期中には販売の開始を行います。

 2025年7月17日付「先端技術を駆使した液体レンズ「RYUGU」正式販売開始のお知らせ」で販売の開始をいたしました液体レンズ「RYUGU」は、6月11日から3日間開催された「画像センシング展 2025」にて先行展示を行い100社越えに上るご来場者の皆々様から、大きな反響をいただきました。これは従来のガラスなどで作られるレンズに代えて特殊な液体を組み合わせたレンズ構造とし、プログラムされた電圧を加えることで厚さ(焦点)を瞬時に制御できる製品となります。デモ製品はテレセントリックレンズに組込み、来場した顧客に順次アプローチを行いました。また、当製品は余りに多くの反響をいただきましたので、本年9月15日から3日間にわたり、パシフィコ横浜(横浜市西区みなとみらい1-1-1)にて開催されるSSDM(国際固体素子・材料コンファレンス)への出展を計画しております。

 「WTS-CT130」 マイクロCT、X線照射3D断層撮影検査装置に関しまして、2024年12月のセミコンショーにおいて、多くの顧客からデモのご依頼を受けました。2024年から引き続き、顧客立合いのもと、顧客による「持込み試料」について、X線によるデモを実施しております。

財務施策

 財務面については、事業拡張を考えた財務戦略として財務基盤を強化する目的のため、2024年10月31日付取締役会の決議において、GFA株式会社を割当先とする10,000千株の第三者割当による第12回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行を決議し、同年11月20日付で第三者割当による第12回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行に係る払込完了が行われ、順調に行使が進み2025年7月22日付で、すべての行使が完了、合計約8億円の調達をしております。なお、一部資金使途及び支出予定時期の見直しをしております。今後とも新規開発、営業並びに新規事業方面での資金需要を鑑み、機動的なファイナンスを計画するとともに有力半導体検査周辺機器メーカーやパワー半導体専門メーカーなどのM&Aも計画し、日本市場においても注目を集める検査分野への進出を目指し、資本提携や協力体制を積極的に進め、新規市場参入を加速し対応可能検査範囲の拡充、収益基盤固めに取り組んでまいります。

 また必要に応じ当社のグループ企業あるいは金融機関等からの借入を計画し、事業成長に資する資金確保についての施策を継続的に検討実施してまいります。

 しかしながら、事業施策及び財務施策の実現可能性は市場の状況、需要動向等の今後の外部環境の影響を受けることから、現時点においては継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。

 なお、当中間連結財務諸表は、継続企業を前提として作成されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を当中間連結財務諸表に反映しておりません。

有価証券報告書-第32期(2024/01/01-2024/12/31)
(継続企業の前提に関する事項)

当社グループは、半導体市場の減速の影響により、前連結会計年度における売上高は407,449千円となり、営業損失558,459千円、親会社株主に帰属する当期純損失554,572千円を計上いたしました。なお、営業キャッシュ・フローは、558,267千円のマイナスとなりました。

 当連結会計年度(2024年1月~12月)における世界半導体市場は、WSTS(World Semiconductor Trade Statistics/世界半導体市場統計)の発表によると、前年比+16.0%増の6,112億ドルになるとの見通しでした。AI関連投資が好調で、これに伴ってメモリー製品や AIで使用されるGPUなどの複合ロジック製品半導体が市場の牽引役となりました。一方、AI関連を除くと、自動車用途が低迷したほか、設備投資の冷え込みを背景とした産業用途の不振、また民生向け半導体など全方位に亘り多くの製品で前年比マイナス成長となりました。2023年の半導体ダブつき解消後の「復活の年」という意味でも大きく期待された2024年の新規設備投資は、半導体工場各社の稼働率低迷継続をうけ、新規設備投資の抑制が年度末まで続く事態となりました(2025年1月6日付ストックマーク社記事「2024年の半導体市場は「復活の年」だったのか?」より引用)。そのため、当社グループの2024年度の受注、売上は低調に推移いたしました。

 また、当社は、当社グループが保有する棚卸資産について厳格な評価を実施し、連結において574,470千円の棚卸資産評価損(売上原価)を計上いたしました。

 近年、業界全体において市場環境が変化しており、特に受注の伸び悩みが見られる状況が続いています。当社におきましても、一部製品の市場動向を慎重に精査した結果、保有する棚卸資産の一部について、将来的な回収可能性について精度を高めて評価する必要があると判断しました。これに伴い、監査法人とも協議のうえ、適正な会計処理を行うために棚卸資産の評価損を計上することといたしました。

 これは、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号)に従い資産評価の健全性を確保するために実施するものであります。今回の評価損計上により、短期的な財務指標には影響が出るものの、これは将来的な財務の健全性を確保し、持続的な成長基盤を強化するための戦略的な判断であります。当社は今後も、事業構造の見直しや市場ニーズに適した製品戦略を推進し、収益性の向上を図る施策を進めてまいります。また、当該棚卸資産に関しましては、2025年以降出荷される製品にすべて組み込む予定です。

 当社の当連結会計年度の売上高は417,090千円となり、営業損失は1,083,829千円、経常損失は1,094,080千円、親会社株主に帰属する当期純損失は1,105,888千円となりました。また、営業キャッシュ・フローは、662,304千円のマイナスとなりました。

 上記のとおり、継続的な営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスが発生している状況にあり、当社グループには継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社グループはこうした状況を早期に解消又は改善すべく、以下の対応策を継続して実施しております。

事業施策

1.中国国内での受注販売活動の促進

 前述のとおり、AI市場以外の民生市場及び産業向け半導体市場は2024年度の新規設備投資を控えており、新設された各顧客における新工場など竣工はしたものの、設備導入は2025年度予算に組入れる様子です。しかし、今後の半導体市場は、各国政府の進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)のさらなる進展や脱炭素化推進に向けた取り組み、自動運転や5G、6Gなどの高速通信環境がもたらす新しいイノベーションが期待されており、今後はAI関連だけではなくAIを基盤としたサービスのアウトプットに対応する半導体を含め、新しい技術が急速に開発・開拓され、広範な需要に支えられ伸長するものと想定されております。

 当社グループが「主力装置」と位置付けるLCDドライバIC検査装置は、液晶パネルに使われるLCDドライバICの検査に使用されており、また、それら情報端末ではLCDドライバICだけではなく、当社が得意とするCMOSイメージセンサーIC、ロジックICなど周辺半導体デバイスの需要も大きな伸びが期待される分野です。当社の主力検査装置WTS-577SRは主にローエンドデバイス向けとし、2024年12月に開催されたセミコンジャパン2024展示会で完成リリースを行ったWTS-577SXにつきましては、ミドルクラスからハイエンドデバイス向けとし、新たに同展示会でリリースを行ったWTS-9000フラッグシップ機をハイエンド超多数個の同時測定用として販売しております。また、セミコンジャパン2024展示会では、国内外から多くのお客様にご来場いただき、実機展示を行っているメーカーが少ないこともあいまって国外、国内の御来場者から大きな反響を頂きました。その結果、WTS-9000においては、2025年1月20日に「次世代ディスプレイ・ドライバーIC検査装置WTS-9000受注及び初出荷のお知らせ」にてお知らせいたしましたように、リリース直後に海外のお客様から受注を頂くことができました。また、国内顧客からは、汎用ロジック検査装置WTS-3000のお引合いを多く頂くことができました。これら検査装置の受注は、設備投資が再開されると期待される2025年第2四半期(多くの日本のお客様では第1四半期)以降を予定しております。

 今後、ウインテスト武漢との協力体制強化を土台にし、中国PMI社並びに台湾代理店との協力関係を推し進め、営業活動を見直してまいります。さらに、ウインテスト武漢においては、顧客対応力の強化を目的にエンジニアの採用を促進、更なるサポート体制の強化と製造においては品質の向上に取り組み、今後AI市場の活性化が著しい中国国内市場への深耕を図ってまいります。

2.技術開発の強化

 当社は、これまでのICチップの検査装置に加え、新たに2025年1月28日に「ウエハ・アクセプタンス・テスト(WAT)検査装置「WTS-511」リリース、販売開始のお知らせ」で開示いたしましたように、新領域である半導体製造工場で完成したウエハ上で行う電気的検査で、設計基準や顧客要求を満たしているか出荷される前の最終的な品質保証プロセスを検証できる検査装置を市場に投入してまいります。また汎用ロジックIC検査装置(256チャンネル、512チャンネル、1024チャンネル、周波数400Mhz)に関しては、国内、台湾、中国顧客向けを想定したWTS-3000、WTS-677そしてWTS577Lとして販売を開始しております。またロジック検査装置、ディスプレイ・ドライバー検査装置に関しましては、先端機能を更に引き上げるべく引続き開発を継続しております。これによって、ローエンド市場からハイエンド市場までを網羅的にカバーできる装置ラインナップを揃えました。

 また、新たな収益の柱を構築するための成長戦略として、2025年までに当社グループがこれまで培ってきた検査技術や画像処理技術、高精度センサー技術、データ解析技術を応用しつつ、外部専門会社からの協力のもと、今後の市場拡大が見込まれる5Gと、その後の6G通信規格の台頭とともに注目を集めるパワーデバイス検査分野への進出を目指し、M&Aなども視野にシナジーの高い事業会社との資本・業務提携を積極的に進め、当該分野への新規参入、対応可能検査範囲の拡充と展開を計画、収益基盤の拡充に取り組んでまいります。

3.隣接領域の展開と製品化

 検査装置向け工場FA化機器技術(「自重補償機構技術」)、当該技術については、慶應義塾先端科学技術研究センターと共同開発を進めており、特許等の申請についての手続きは終了、また現在は2024年中に開発した新技術について新たに特許の申請手続きに入っております。当初当社検査装置関連で製品化を目指しておりましたが、2024年に方向を転換、2024年問題で揺れる「物流輸送市場」における手動リフトゲートトラック向け補助装置の製品化を行っており、現在はロボットの開発設計製造の得意な工場に委託を行っており、2025年6月にプロトタイプの制作、複数のコンサル会社のアドバイスをもとに2025年中には量産体制を整え販売を開始いたします。なお、コンサル・アドバイザーとしてジェイ・フェニックス・リサーチ社と契約を結んでおります。

 奈良県立大学と進めております脈波(BCG,ECG)を利用したヘルスケア管理システムは、同大学並びに株式会社TAOS研究所とアライアンスを継続し、量産方法の試行錯誤を完了し量産に向け当社大阪事業所並びにご協力企業様と協議を進めており、2025年4月からの本格販売に向け計画を進めております。販売に関しましては株式会社TAOS研究所主導のもと、強いご興味を頂いているウエルコンサル株式会社(大阪市生野区)などと連携し進める方向です。またコンサルには同じくジェイ・フェニックス・リサーチ社と契約を結び、販売チャンネルの多角化などを協議しております。

 水素ナノバブル・アルカリイオン・洗浄水に関しましては、各種の実験を通し概ね良好な結果が得られましたことから、現在イオン水生成装置の内製化に取り組んでおり、イオン水を試験的にご希望の企業様に実験用として無償で供給させて頂いております。今後、本格販売に向け生成装置の内製化を加速してまいります。

(注)インダストリー4.0 検査装置向け工場FA化機器技術に使われる「自重補償機構技術」とは

 一般的な「重量物搬送装置」は、電気モーターやエンジン等の動力源を持ち、かつ、重いカウンターウエイトや油圧・圧縮空気の出力を借りることで、数十キロから数百キロの重量物の移動をアシストしますが、装置が大掛りで重量が重くなることや、重量物に見合う外部動力が必要となるといった課題を有しています。これらの課題克服のため、当社と慶應義塾先端科学技術研究センターは、いかなる動力や重いカウンターウエイト、そして油圧・空圧機器をも使用しない「自重補償機構」の開発を進め、バネの弾性力を応用した軽量かつシンプルな構造を内蔵したロボットアームの継続開発を行っております。今般開発した試作機は、被搬送物の重量が変化した場合でもその重さに見合った自重補償ができる構造となっており、回転軸を除く各軸にて搬送する重量物の自重補償を達成し、自身の腕部分の自重をも含め、より安全な自重補償を成立させています。

財務施策

 財務面については、財務基盤の安定化を図るために、2024年9月15日開催の取締役会において、GFA株式会社を割当先とする1,000万株の第三者割当による新株予約権の発行を決議し、2024年12月31日時点までに新株予約権の一部行使によって92,820千円の資金調達を実施しました。これにより、今後の半導体検査装置事業に必要なリニア半導体など新領域並びに新規事業の展開資金を確保するとともに、併せて財務基盤の強化を図りました。しかし、上述でご説明いたしましたお客様工場における新規設備投資が2024年中には回復せず、2025年にずれ込むなど、想定より長期にわたることから、業績の低迷が続き、加えて2021年~2023年にかけて発生した検査装置に不可欠な産業用半導体部品の大幅な不足と納期遅延、価格高騰を受け、タイムリーな製造ができるように早期の部材仕入れを行った結果、運転資金となる現預金が計画より減少することとなりました。今後とも筆頭株主である武漢精測と諮りながら、同社及び金融機関からの資金調達の施策を継続して実施してまいります。

 以上の施策をもって抜本的な改善をしていく予定でおりますが、2023年から2024年度中にまで引き続いた、半導体市場の生産調整などから、設備投資の大幅な抑制という事態になり、当社がメイン市場とする海外受注並びに受注済み検査装置の出荷・売上は、新規設備投資の再開される2025年度以降となります。事業施策及び財務施策の実現可能性は市場の状況、需要動向等の今後の外部環境の影響を受けること、前記の新株予約権による調達についても確約されるものではないことから、現時点においては継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。

 なお、連結財務諸表は、継続企業を前提として作成されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表に反映しておりません。

半期報告書-第32期(2024/01/01-2024/12/31)
(継続企業の前提に関する事項)

 当社グループは、前連結会計年度において半導体需要のダブつきによる工場稼働率の調整が長引いたことの影響を受け、売上・受注時期がずれ込み、売上高407,449千円にとどまり、営業損失558,459千円、親会社株主に帰属する当期純損失554,572千円を計上いたしました。また、営業キャッシュ・フローは、558,267千円のマイナスとなりました。

 前連結会計年度においては、市場は民生半導体のダブつき解消に注力し、多くの半導体製造工場では生産調整から新規設備投資を凍結しておりました。当中間連結会計期間の1月から3月において、多くの半導体生産工場の生産調整は、順次終了し、半導体の超過在庫も最悪の6か月超から3か月程度に改善しており、半導体市場は、順次増産に舵を切り始める方向となりました。当社としては、このように市場在庫の適正化が進んでいることを考慮し、当中間連結会計期間の4月から6月にかけて半導体市場の本格回復を期待しておりましたが、多くの半導体製造各社において半導体の超過在庫は改善しているものの、新規設備投資に関し依然として様子見の状況を続けている状況です。IT及び半導体の市場の指標の一つとしてスマートフォンの出荷見込み台数がありますが、日経XTECH社によると2023年は11億3,400万台(前年比6%減)でありました。期待されている2024年は11億7,100万台(前年比3%強増)との予測から、慎重さを見せつつも市場の本格回復は第3四半期以降となる見込みとなりました。第3四半期における当社の営業状況見込みについて、各お客様の状況は、依然新規投資に慎重さはあるものの上昇に向かいつつあり、2024年7月に約1.3億円の新規受注を頂きました。当該受注装置の出荷売上計上は第3四半期中を予定しております。(用語 製造工場:受託製造工場でOSATとも呼ぶ、製造会社:デザインハウスと受託製造工場全体を指す)。

 以上より、当中間連結会計期間の売上高は237,415千円にとどまり、営業損失251,542千円、親会社株主に帰属する中間純損失219,790千円を計上しております。また、営業キャッシュ・フローは、168,936千円のマイナスとなりました。

 上記のとおり、継続的な営業損失及び営業キャッシュフローのマイナスが発生している状況にあり、当社グループには継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社グループはこうした状況を早期に解消又は改善すべく、以下の対応策を継続して実施しております。

事業施策

1.中国国内での受注販売活動の促進

 2023年末まで引き続いた民生向け半導体の在庫調整から一転し、2024年上半期中の各社OSAT(半導体チップの組立検査受託会社)は増産に転じるものと予測されておりました。当中間連結会計期間の1月から3月は市場回復直後であり、想定とおり新規の設備投資は控えめでした。期待のかかった当中間連結会計期間の4月から6月の状況としては、大方の予想を裏切り市場回復ペースはゆっくりであり、本格回復までには当初の想定以上の時間がかかる状況となりました。2024年の市場の状況として、民生IT関連市場における指標の一部ともいわれるスマートフォンの想定出荷台数予想推移は上述のとおり比較的ゆるやかに推移しており、ウエアラブル端末の増加やスマートフォンの機能向上に合わせた価格上昇傾向が続いていることから、足元では新製品のニーズは緩慢な状況にあります。ユーザーの買い替え期間が長期化していることを受け、修理市場向け半導体チップの需要もゆるやかに増加している傾向にあります。このことから2024年の下半期から2025年にかけて半導体製造工場における設備投資もゆるやかに増加していくものと考えております(引用:日経XTECH)。

 SEMI(国際半導体製造装置材料協会)によると、2024年下半期から本格回復が予想される半導体製造装置市場は2025年に1,090億米ドルから1,280億米ドルへとおおきく伸長し、その要因として「中国の好調な設備投資の継続」や「AIコンピューティングに向けたDRAM及びHBM(広帯域メモリ)への投資」また先端ロジックやメモリ関連の需要増としております。当社ビジネスに大きな影響のある新世代スマートフォンに於いては2024年下半期から2025年にかけ、AI連携機能を搭載した新世代製品が計画されており、また中国に於いてスマートフォンやPCに搭載されるLCDドライバーチップなどの検査を目的にOSATなど新工場の建設ラッシュが続いております。従いまして2024年下半期以降中国OSAT各社の動きが今後活発化して行くものと考えております。

 今後の半導体市場は、各国で声高に叫ばれていた電気自動車(EV)は期待に反し大きく鈍化するとの観測もありますが、ChatGPTなどに代表される生成A.I.向けGPU(画像を含む高速情報処理チップ)などのハイエンド・ミックスデバイスや各国政府の進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)のさらなる進展、脱炭素化推進に向けたペーパーレス化に伴うデータセンターの増設、拡大、高齢化社会に向け期待の高まる自動運転や5G、6Gなどの高速通信環境がもたらす新しい世界(VRやメタバース)が急速に拡大し、各種AIクラウドデータセンターは勿論、GX投資(グリーン投資)など、官民連携によるインフラの整備がけん引役となり、力強く成長すると見られております(Techinsight)。また、同Techinsight社によると、今後の10年の半導体市場では、これまでスマートフォン、PC等情報端末が占めていた半導体チップやディスプレイパネル等のニーズは、将来的に産業用途・医療・自動車向けのものに変わるものと予想されています。

 当社グループが「主力装置」と位置付けるディスプレイ・ドライバーIC検査装置は、液晶パネルに使われるディスプレイ・ドライバーIC(ディスプレイに絵や文字を表示するIC)の検査に使用されており、また、それら情報機器ではディスプレイ・ドライバーICだけではなく、当社が得意とするCMOSイメージセンサーICと検査用高精度光源装置(TOF機能搭載)、制御用ロジックICなど多種にわたる周辺半導体デバイスが使われております。現状足元では、新規設備投資は足踏み状態が続いておりますが、中期的には需要も戻り更に大きな伸びが期待される分野です。

 当社事業に密接な関係がある2024年のスマートフォン市場は、より高度な消費者の需要を満足させる動向であり、具体的には、AIの統合・バッテリー寿命の延長・プライバシー保護の強化をする動きが活発化しています。そのためにスマートフォンメーカー各社は、より高性能なプロセッサ・大容量のバッテリー・クリアなディスプレイ、そして優れたカメラを備えた新機種を2024年秋から2025年にかけて相次いで発表するものと考えられます。当社においては、現在各デザインハウスやOSAT(受託製造工場)と密接に情報交換を行い、受注に結びつけて行く計画です。

 上述のような理由から、当中間連結会計期間においては、受注は低迷いたしましたが、当社の主力検査装置「WTS-577SR」につきましては、2021年から販売を開始し、改良と改版を重ね信頼性も向上いたしました。その結果、新規設備投資低迷期であったにも関わらず、当中間連結会計期間の2024年1月から3月に約1.4億円の受注を受け売上を計上し、また新たに2024年7月に約1.3億円の受注を頂くことができました。なお、当該7月の受注案件はすべて第3四半期中の売上を予定しております。

 新戦略として、中国国内において当社グループ企業と開発、製造並びに営業戦略で共同戦略を押しすすめ米国圧力による対中規制強化に影響を受けない中国市場攻略を進めてまいります。

 また、当社の中国製造子会社「偉恩測試技術(武漢)有限公司」(以下、「ウインテスト武漢」という。)の営業体制を見直し、上述のように当社グループ会社の営業力も活用し中国、台湾において、グループ力による受注を目指します。また、営業とアフターサポートセクションの情報共有を促進し、よりお客様に寄り添った営業活動を図ってまいります。

 ウインテスト武漢においては、積極的な日本からの応援を行い顧客対応力(クレーム解決力)の強化、更なる最終組立工程の製造品質の向上に取り組み、中国国内市場への深耕を図ってまいります。

2.技術開発の強化

 先端ロジック機能(I/O 1024チャンネル、デジタルスピード1.6Gbps)に関しては、次世代LCDデータキャプチャボートとともに2024年10月から12月にかけ順次リリースの予定です。また、引続き次世代向け機能として超高速デジタルパターンスピード発生装置USDRとして4.0Gbpsを発生する高速リソースの開発を継続しており、同じく2024年10月から12月には開発を終了し、お客様への提供を開始する予定です。更に「WTS-9000S」次世代のフラッグシップ検査装置に先立ち「WTS-577SX」のリリースを同じく2024年10月から12月を目途に計画をしております。「WTS-577SX」に関して、国内、台湾、中国顧客向けを想定した開発を継続しており、多くの部分を現在開発中の次世代LCDドライバー検査装置へ共用の上、使い勝手の向上に向けて新GUIを装備し、コスト削減と市場への早期リリースができるように計画しております。

 また、新たな収益の柱を構築するための成長戦略として、2025年中には当社グループがこれまで培ってきた検査技術や画像処理技術、高精度センサー技術、データ解析技術を応用し、且つ当社並びにウインテスト武漢の技術陣に加え、当社グループ企業との開発連携で、今後市場拡大が見込まれるシステムオンチップ(SoC)市場やAIチップ検査市場に進出する計画です。国内では、汎用デジタル市場の検査分野、ハイエンドCMOSイメージセンサー分野そして2027年までにデバイス検査の新たなアプローチとして注目の集まるSLT(システムレベルテスト)対応検査装置の構築を完了いたします。機動的なファイナンスを行い有力半導体検査周辺機器メーカーやパワー半導体専門メーカーなどのM&Aも計画し、日本市場においても注目を集める検査分野への進出を目指し、資本提携や協力体制を積極的に進め、新規市場参入を加速し対応可能検査範囲の拡充、収益基盤固めに取り組んでまいります。

3.隣接領域の展開と製品化

 検査装置向け工場FA化機器技術(「自重補償機構技術」)については、学校法人慶應義塾大学慶應義塾先端科学技術研究センターと共同開発を進めており、特許等の申請については終了しております。当該技術は当社の検査装置とウエーハ搬送装置との間のドッキングアダプター(以下「ポゴタワー」という。)の着脱(約25㎏~30㎏)をオペレータ一ひとりで簡単に安全に行うための補助アーム(以下「マニピュレータ」という。)で製品化を目指しておりますが、ロボットを得意とする専門工場と協議し、2024年問題で揺れる「物流市場」におけるトラック向け荷役補助装置並びに同技術を使った昇降機能付き台車の製品化を考えており、製品化後の量産工場の選定などの協議を続けております。

 奈良県立大学と進めております脈波(BCG,ECG)を利用したヘルスケア管理システムは、協力病院及び大規模介護施設向けに試験販売と検査情報収集を継続し、同大学並びに株式会社TAOS研究所と連携のもと、機能の改善改良強化を進めております。なお、個人家庭向け製品につきましては、機能面の見直しと量産体制が整い次第、お知らせいたします。なお、量産に関し国内の有力企業様と折衝を始めました。年内での一般市場投入を計画しております。

財務施策

 財務面については、事業拡張を考えた財務戦略として財務基盤を強化する目的のため、当中間連結会計期間中には2024年2月19日の取締役会の決議において、GFA株式会社を借入先とする1億円の借入を決議し、2024年2月26日に実行されております。また、同目的のため、2024年2月20日の取締役会の決議において、楽言海外国際(香港)有限公司を借入先とする1億円の借入を決議し、2024年2月20日、21日及び22日の3回に分けて実行されております。筆頭株主である武漢精測と諮りながら、武漢精測グループ及び投資機関からの資本増強あるいは必要に応じ同グループからの借入を計画し、資金確保についての施策を今後とも継続実施してまいります。

 以上の施策をもって抜本的な改善をしていく予定でおりますが、前述のようにアフターコロナ後の設備投資凍結からの半導体製造装置市場の復調は緩やかであり、当中間連結会計期間中における半導体各社の投資意欲は次第に強くなっているものの依然慎重さを含んでおり、WSTS(世界半導体市場統計)による予想では、本格的な設備投資は2024年下半期以降にずれ込むとされております。特に当社が当面、メイン市場とする中国、台湾市場は今後とも半導体市場のけん引役と考えられており、子会社であるウインテスト武漢並びに中国のサポートセンターの充実を図ってまいります。

 事業施策及び財務施策の実現可能性は市場の状況、需要動向等の今後の外部環境の影響を受けること、前述の資金調達についても確約されるものではないことから、現時点においては継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。

 なお、当中間連結財務諸表は、継続企業を前提として作成されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を当中間連結財務諸表に反映しておりません。

四半期報告書-第32期第1四半期(2024/01/01-2024/03/31)
(継続企業の前提に関する事項)

 当社グループは前連結会計年度において、半導体製造工場の生産調整の影響から、売上高は407,449千円と回復基調にあるものの、営業損失は558,459千円となり、親会社株主に帰属する当期純損失を554,572千円計上しております。

 前連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の行動制限の影響で始まった巣ごもり需要が終焉を迎えることとなり、民生半導体のダブつきが発生したため、多くの半導体製造工場は、生産調整から新規設備投資を凍結しておりました。当第1四半期連結累計期間においては、生産調整は順次終了し、半導体の超過在庫も最悪の6か月超から3か月程度に改善、増産に舵を切り始めお客様からの装置お引き合いは増える方向となりました。当第1四半期の半導体製造会社の各社は様子見の状況であり、スマートフォンや情報端末の販売は緩やかな上昇は見られるものの、まだ市場をけん引するほどの力強さは見られません。しかし、半導体製造工場各社は、当社第2四半期、当社第3四半期に向けて増産の準備を始めている状況であることから、増産に伴う設備投資も慎重さはあるものの、上昇に向かいつつあると考えております。なお、2024年1月15日に受注いたしました装置の出荷売上は順調に進み、当第1四半期末までに完了しております。

 以上より、当社グループの連結ベース売上高は、211,959千円となり、前年同期比で156.7%の増加となりました。しかし、売上増となったものの、上述のような状況から赤字脱却までにはいたらず、営業損失71,113千円となりました。親会社株主に帰属する四半期純損失は46,602千円を計上しております。

 上記のとおり、業績は改善傾向にあるものの、依然として継続的な営業損失が発生している状況にあり、当社グループには継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社グループはこうした状況を早期に解消又は改善すべく、以下の対応策を継続して実施しております。

事業施策

1.中国国内での受注販売活動の促進

 上記のように、前連結会計年度からの半導体工場各社における在庫調整及び新規設備投資の凍結という状況から回復しつつある市場は、当第1四半期中は、新規設備投資に慎重な企業が多く、様子見が続いておりました。米Bloomberg社(2024年4月5日付)によると、第2四半期以降は、特に半導体製造工場が集中する中国において、在庫調整は底を打ち急加速するとみられており、今後中国各社の動きが活発化して行くものと考えております。一方で、第2四半期以降の半導体市場は、各国で声高に叫ばれている電気自動車(EV)は期待に反し大きく鈍化するとの観測もありますが、ChatGPTに代表される生成A.I.向けGPU(画像を含む高速情報処理チップ)などのハイエンド・ミックスデバイスや各国政府の進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)のさらなる進展、脱炭素化推進に向けたペーパーレス化、高齢化社会に向け期待の高まる自動運転や5G、6Gなどの高速通信環境がもたらす新しい世界(VRやメタバース)が急速に拡大し、各種クラウドデータセンターは勿論、GX投資(グリーン投資)など、官民連携によるインフラの整備がけん引役となり、力強く成長すると見られております(Techinsight)。また、同社によると、今後の10年の半導体市場では、これまでスマートフォン、PCや情報端末が占めていたニーズは、将来的に産業用途・医療・自動車向けのものに変わるものと予想されています。

 近年の半導体の複雑化や集積度向上(例、線幅4nmから2nm)は半導体の機能の増加を意味し、検査時間の伸長に繋がります。しかしながら、同時に量産性も要求されるため、半導体テスタ市場は、装置能力の向上に加え装置台数の増加が期待される方向と考えております。

 当社グループが「主力装置」と位置付けるディスプレイ・ドライバーIC検査装置は、液晶パネルに使われるディスプレイドライバーIC(ディスプレイに絵や文字を表示するIC)の検査に使用されており、また、それら情報機器ではディスプレイ・ドライバーICだけではなく、当社が得意とするCMOSイメージセンサーIC、ロジックICなど多種にわたる周辺半導体デバイスが使われております。

 当社の主力検査装置WTS-577SRにつきましては、当第1四半期連結累計期間において、当該装置に開発の完了した新規機能を搭載したハードウエアを順次搭載することで、顧客新規開発の次世代ディスプレイ・ドライバーICのベンチマークを積極的に受け、複数の顧客から量産評価の完了と順次竣工予定の新工場への導入に向けた引合い協議を進めております。

 今後、当社連結子会社ウインテスト武漢との協力体制強化を土台にして、さらに中国市場攻略を確実にするため、これまでの販売店に依存した営業戦略を見直し、販売店の営業チャンネルや、人的チャンネルを有効に活用させて頂きながら、当社、営業、及び技術でタッグを組み直接営業を行う戦略に代えてまいります。

2.技術開発の強化

 先端ロジックIC検査装置(1024チャンネル、820Mbps)に関しては、国内、台湾、中国顧客向けを想定した開発を継続しており、多くの部分を現在開発中の次世代ディスプレイ・ドライバー検査装置と共用することで、より広範囲のロジックIC検査に対応できるように計画し、協力企業と共に2024年度末までにベンチマークを終了する予定です。

 また、新たな収益の柱を構築するための成長戦略として、2025年までに当社グループがこれまで培ってきた検査技術や画像処理技術、高精度センサー技術、データ解析技術を応用しつつ、外部専門会社からの協力のもと、今後の市場拡大が見込まれる5Gとその後の6G通信規格の台頭とともに注目を集めるパワーデバイス検査分野への進出を目指しております。さらに、M&Aなども視野にシナジーの高い事業会社との資本・業務提携を積極的に進め、当該分野への新規参入、対応可能検査範囲の拡充と展開を計画しており、収益基盤の拡充に取り組んでまいります。

3.隣接領域の展開と製品化

 検査装置向け工場FA化機器技術(「自重補償機構技術」)については、学校法人慶應義塾大学慶應義塾先端科学技術研究センターと共同開発を進めており、特許等の申請については終了しております。当該技術は当社の検査装置とウエーハ搬送装置との間のドッキングアダプター(以下「ポゴタワー」という。)の着脱(約25㎏~30㎏)をオペレータ一ひとりで簡単に安全に行うための補助アーム(以下「マニピュレータ」という。)で製品化を目指しております。さらに、ロボットを得意とする専門工場と協議し、2024年問題で揺れる「物流市場」におけるトラック向け荷役補助装置の製品化を考えており、ご協力いただける中小型トラック事業会社様を選定中です。

 奈良県立大学と進めております脈波(BCG,ECG)を利用したヘルスケア管理システムは、現在特定のお客様への試験販売を継続しつつ、同大学並びに株式会社TAOS研究所とアライアンスを継続し機能の強化を進めており、当面は病院、介護施設への試験販売を行っております。なお、個人家庭向け製品につきましては、機能面の見直しと量産体制が整い次第、お知らせいたします。

財務施策

 財務面については、前連結会計年度に行った新株予約権行使による資金調達が昨今の株価低迷により当初計画した調達予定額に達しなかったこと、売上及び入金が一部持ち越しとなったことから、財務基盤を強化する目的のため、2024年2月19日の取締役会の決議において、GFA株式会社を借入先とする1億円の借入を決議し、2024年2月26日に実行されております。また、同目的のため、2024年2月20日の取締役会の決議において、楽言海外国際(香港)有限公司を借入先とする1億円の借入を決議し、2024年2月20日、21日及び22日の3回に分けて実行されております。 今後も、筆頭株主である武漢精測と諮りながら、同社グループ及び金融機関からの借入並びに資本増強等による資金確保についての施策を今後とも継続して実施してまいります。

 以上の施策をもって抜本的な改善をしていく予定でおりますが、前述のようにアフターコロナ後の設備投資凍結からの半導体製造装置市場の復調は緩やかであり、当第1四半期における半導体各社の投資意欲は強いものの慎重さを含んでおり、米Bloomberg社、WSTS(世界半導体市場統計)による予想では、本格的な設備投資は第2四半期以降であるとされております。特に当社が当面、メイン市場とする中国、台湾市場における新規受注並びに受注済み検査装置の出荷、売上は、市場が上向くと予想される第2四半期以降と考えております。

 事業施策及び財務施策の実現可能性は市場の状況、需要動向等の今後の外部環境の影響を受けること、前記の新株予約権による調達についても確約されるものではないことから、現時点においては継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。

 なお、当四半期連結財務諸表は、継続企業を前提として作成されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を当四半期連結財務諸表に反映しておりません。

有価証券報告書-第31期(2023/01/01-2023/12/31)
(継続企業の前提に関する事項)

当社グループは、半導体市場の減速の影響により、前連結会計年度における売上高は210,315千円となり、営業損失693,502千円、親会社株主に帰属する当期純損失686,241千円を計上いたしました。なお、営業キャッシュ・フローは、613,481千円のマイナスとなりました。

 当連結会計年度における半導体検査装置業界は、 2022年後半から続く民生半導体の過剰在庫によるダブつきによる下押し要因によって、メモリーをはじめとして大半の半導体部材、製品の出荷はマイナス成長となりました。WSTSなどのアナリストの予測によると、半導体の過剰在庫解消は、当初2023年度半ばには解消されるとのことでしたが、予測は大きくずれ込み、期待されたダブつき解消は、2023年末まで引きずる形となりました。その結果、半導体製造工場は生産調整を余儀なくされ工場製造装置稼働率は大きく低下、2023年度は、新規設備投資の見送りを決める半導体製造工場が多く、当社においても納期調整要求や新規受注見送り等の影響が出る状況となりました。以上の状況は、当社グループの事業活動に大きく影響し、予定していた追加受注及び売上は一部において2024年以降となりました。

 以上より、当連結会計年度の売上高は、407,449千円と前期より増加し回復基調にあるものの、営業損失は558,459千円となり、親会社株主に帰属する当期純損失を554,572千円計上しております。また、営業キャッシュ・フローは、558,267千円のマイナスとなりました。

 上記のとおり、継続的な営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスが発生している状況にあり、当社グループには継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社グループはこうした状況を早期に解消又は改善すべく、以下の対応策を継続して実施しております。

事業施策

1.中国国内での受注販売活動の促進

 上述のように、当連結会計年度の半導体業界は、過剰在庫を十分に解消できておりません。その結果、OSAT(「Outsourced Semiconductor Assembly and Test」の略で、半導体の組立やテストといったいわゆる半導体製造の後工程を専門とする企業のことを言います。)は、薄型パネルを含めたPC等の組立用半導体部材の在庫調整を急ぐデザインハウスの計画修正を受ける形で設備投資を抑制しており、市場は2023年度の新規設備投資を控え、2024年度予算に組入れる様相です。しかし、2024年以降の半導体市場は、中長期的に見ますと、各国政府の進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)のさらなる進展や脱炭素化推進に向けた取り組み、自動運転や5G、6Gなどの高速通信環境がもたらす新しいイノベーション、特にChatGPTに代表されるA.I.技術の台頭が大きく取上げられ、対応する半導体を含め、新しい技術が急速に開発・開拓され、広範な需要に支えられ伸長するものと想定されております。

 当社グループが「主力装置」と位置付けるLCDドライバIC検査装置は、液晶パネルに使われるLCDドライバICの検査に使用されており、また、それら情報端末ではLCDドライバICだけではなく、当社が得意とするCMOSイメージセンサーIC、ロジックICなど周辺半導体デバイスの需要も大きな伸びが期待される分野です。当社の主力検査装置WTS-577SRにつきましては、2021年から販売を開始し、装置の貸出しを伴うベンチマークに積極的に取組み、半導体製造工場から量産ラインへの投入評価をいただくことができました。新規の引合は前年度より伸びつつあるものの、上述の半導体業界の状況から、工場の稼働は未だ本格化しておらず、受注済みの装置を含む受注・出荷・売上並びに、国内顧客からの新規受注は、一部において設備投資が再開される2024年を予定しております。

 今後、当社連結子会社の偉恩測試技術(武漢)有限公司(以下、「ウインテスト武漢」という。)との協力体制強化を土台にし、武漢精測グループ並びに台湾代理店との協力関係を推し進め、営業活動を見直してまいります。さらに、ウインテスト武漢においては、コストの削減と顧客対応力の両方を強化、更なる最終組立工程の製造品質の向上に取り組み、中国国内市場への深耕を図ってまいります。

2.技術開発の強化

 先端ロジックIC検査装置(1024チャンネル、875Mbps)に関しては、国内、台湾、中国顧客向けを想定した開発を継続しており、多くの部分を現在開発中の次世代LCDドライバー検査装置と共用することで、より広範囲のロジックIC検査に対応できるように計画し、協力企業とともに2024年にベンチマークを終了する予定です。

 また、新たな収益の柱を構築するための成長戦略として、2025年までに当社グループがこれまで培ってきた検査技術や画像処理技術、高精度センサー技術及びデータ解析技術を応用しつつ外部専門会社と協力し、今後の市場拡大が見込まれる5Gとその後の6G通信規格の台頭とともに注目を集めるパワーデバイス検査分野への進出を目指し、M&Aなども視野にシナジーの高い事業会社との資本・業務提携を積極的に進めることにより、当該分野への新規参入及び対応可能検査範囲の拡充と展開を図ることで、収益基盤の拡充に取り組んでまいります。

3.隣接領域の展開と製品化

 検査装置向け工場FA化機器技術(「自重補償機構技術」)、当該技術については、学校法人慶應義塾大学慶應義塾先端科学技術研究センターと共同開発を進めており、特許等の申請については終了しております。当社は、当該技術により、当社の検査装置とウエーハ搬送装置との間のドッキングアダプター(以下「ポゴタワー」という。)の着脱(約25㎏~30㎏)をオペレータ一ひとりで簡単に安全に行うための補助アーム(以下「マニピュレータ」という。)を製品化しようと考えており、ロボットを得意とする専門工場に依頼し量産製造の準備を行っております。その後、「物流の2024年問題」として社会問題化されております物流搬送市場におけるトラック向け補助装置への応用製品化を目指しております。

 奈良県立大学と進めております脈波(BCG,ECG)を利用したヘルスケア管理システムは、現在特定のお客様への試験販売を継続しつつ同大学並びに株式会社TAOS研究所とアライアンスを継続し機能の強化を進めており、当面は病院、介護施設への販売をいたします。

水素ナノバブルイオン洗浄水に関しましては、装置製造元と提供方法について協議を続けてまいりました結果、装置の大幅な小型化に成功したことにより、小規模BtoB又はBtoC向けとして、装置単体の販売を計画し、また大規模BtoB向けには装置のレンタルを含む販売を計画しております。詳細が決まり次第、お知らせいたします。

(注)インダストリー4.0 検査装置向け工場FA化機器技術に使われる「自重補償機構技術」とは

 一般的な「重量物搬送装置」は、電気モーターやエンジン等の動力源を持ち、かつ、重いカウンターウエイトや油圧・圧縮空気の出力を借りることで、数十キロから数百キロの重量物の移動をアシストしますが、装置が大掛りで重量が重くなることや、重量物に見合う外部動力が必要となるといった課題を有しています。これらの課題克服のため、当社と学校法人慶應義塾先端科学技術研究センターは、いかなる動力や重いカウンターウエイト、そして油圧・空圧機器をも使用しない「自重補償機構」の開発を進め、バネの弾性力を応用した軽量かつシンプルな構造を内蔵したロボットアームの継続開発を行っております。今般開発した試作機は、被搬送物の重量が変化した場合でもその重さに見合った自重補償ができる構造となっており、回転軸を除く各軸にて搬送する重量物の自重補償を達成し、自身の腕部分の自重をも含め、より安全な自重補償を成立させています。

財務施策

 財務面について、当連結会計年度においては、財務基盤の安定化を図るために、2023年1月13日開催の取締役会において、GFA株式会社を割当先とする第三者割当による新株予約権の発行を決議し、2023年6月21日までに新株予約権の発行及び行使により、433,338千円の資金調達を実施いたしました。また、同目的のために、2023年9月15日開催の取締役会において、楽言海外国際(香港)有限公司を割当先とする第三者割当による新株式の発行を決議し、2023年10月19日までに399,921千円の資金調達を実施いたしました。

 これにより、今後の半導体検査装置事業に必要な中国における生産拠点整備資金及び次世代テストシステム等の開発資金、運転資金並びに新規事業の展開資金を確保いたしました。しかし、新株予約権行使による資金調達が、昨今の株価低迷により当初計画した調達予定額に達しなかったこと、上述のとおり新規設備投資の遅れが想定より長期にわたったことから、売上及び入金は一部翌期に持ち越しとなり、運転資金となる現預金が計画より減少することとなりました。

 上記の状況から、財務基盤を強化するため、2024年2月19日の取締役会の決議において、GFA株式会社を借入先とする資金の借入を決議いたしました。また、同目的のため、2024年2月20日の取締役会の決議において、楽言海外国際(香港)有限公司を借入先とする資金の借入を決議いたしました。借入の詳細に関しましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)」をご覧ください。また、GFA株式会社を割当先とする第三者割当による新株予約権の発行及びその行使による運転資金の調達を見込んでおります。 更に、筆頭株主である武漢精測と諮りながら、同社グループからの資金調達を実施してまいります。

以上の施策をもって抜本的な改善をしていく予定でおりますが、2023年中に起きた、半導体市場の生産調整などから、設備投資の大幅な抑制という事態になり、当社がメイン市場とする中国での受注並びに受注済み検査装置の出荷・売上の一部は、新規設備投資が再開される、2024年度以降となります。

 事業施策及び財務施策の実現可能性は市場の状況、需要動向等の今後の外部環境の影響を受けること、上述の新株予約権の発行及び行使による資金調達及び武漢精測グループからの資金調達については確約されるものではないことから、現時点においては継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。

 なお、連結財務諸表は、継続企業を前提として作成されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表に反映しておりません。

四半期報告書-第31期第3四半期(2023/07/01-2023/09/30)
(継続企業の前提に関する事項)

 当社グループは、前連結会計年度において半導体需要のダブつきによる工場稼働率の調整の影響を受け、売上・受注時期がずれ込み、売上高210,315千円にとどまり、営業損失693,502千円、親会社株主に帰属する当期純損

失686,241千円を計上いたしました。

 当第3四半期連結累計期間において、2022年8月から顕在化した民生向け半導体の在庫調整も2023年上半期には一段落するものと予測されておりましたが、在庫調整は、大方の予想より長期化し、当第3四半期においても未だ、だぶつき感は残っており、設備投資は第4四半期以降となる見込みです。当第3四半期末現在においては、スマートフォンやPCなどの需要は少しずつ上向いておりますが、民生向け半導体の適正在庫と言われる3か月分を上回っており、一部「有期EL」関連を除き、未だに4ないし5か月分の在庫調整が進められていると言われております(WSTS、「世界半導体市場統計」より)。そのため、それら機器で使用される半導体の製造設備を中心に設備投資に慎重さがみられました。そのような中、当社グループといたしましては、2023年8月と9月でそれぞれ1件 の受注を頂き、当社顧客の設備投資意欲は鈍いながらも徐々に上向きつつあるものと思われますが、当第3四半期連結累計期間中の売上は、上述の半導体市場のだぶつきの影響を受け、低調に推移いたしました。

 以上より、当第3四半期連結累計期間の売上高は、263,602千円にとどまり、営業損失374,833千円となり、親会社株主に帰属する四半期純損失を354,051千円計上しております。

 上記のとおり、継続的な営業損失及び営業キャッシュフローのマイナスが発生している状況にあり、当社グループには継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社グループはこうした状況を早期に解消又は改善すべく、以下の対応策を継続して実施しております。

事業施策

1.中国国内での受注販売活動の促進

 まず、上述いたしましたように2022年8月から顕在化していた民生向け半導体の在庫調整も2023年上半期中には一段落するものと予測されておりましたが、当第3四半期末現在においても、各社半導体在庫は適正とされる3か月を上回る在庫があり、各半導体製造工場の在庫抑制を目的とした生産調整がなされ新規設備投資は思わしくありません。特に民生機器の一部である、スマートフォンやPC、そしてIT情報端末機器などの半導体製品にだぶつき感が発生し、各半導体工場における在庫抑制を目的とした生産調整が続いております。しかしながら、半導体のデザインハウス及び大手OSAT(半導体の検査、組立を受託する専門工場)を中心に工場の稼働率は回復の兆しが見えており、当社においても、当第3四半期連結会計期間にてデザインハウス、OSATからそれぞれ受注を頂きました。

 WSTS(世界半導体市場統計)の調査では、半導体製造各社による在庫調整プロセスは、確実に進行しているとされ、その調整プロセスは、2023年半ばから徐々に解消に向かい2024年前半にかけて終了、増産に向かうとの見通しが主流となっていると報告されております。他方、半導体の種類や用途、テクノロジーノード(technology node、半導体製造プロセスとその設計ルールのことを言います。)により、一部の半導体では需給の逼迫が継続しており、市場の二極化が見られる一面もあります。そのため、製造各社における新規設備投資は、出口を見据えながら慎重な姿勢を崩しておりませんが、確実に過剰在庫は減っており、第4四半期以降は徐々に回復してくるものと考えております。また2024年を含む中長期的には、ChatGPTに代表される生成人工知能A.I.サーバー投資や、自動車の電動化の進展及び5G関連産業への投資需要が強く見込まれており、市場は力強く成長するものと見られております(「Electronic Engineering Times」より)。

 また、近年の半導体の複雑化や集積度向上(例、線幅4nmから2nm)は半導体の機能の増加を意味し、検査時間の伸長に繋がります。しかしながら、同時に量産性も要求されるため、半導体検査市場は、装置能力の向上に加えて装置台数の増加が期待されるであろうと考えられております。

 当社グループが「主力装置」と位置付けるLCDドライバIC検査装置は、スマートフォンやPC等の情報端末の液晶パネルの駆動に使われる「ディスプレイドライバーIC」の検査に使用されております。また、それら情報端末には、「CMOSイメージセンサーIC」、「ロジックIC」など多種に渡る周辺半導体デバイスが使われております。現状足元では、上記のように半導体市場の足踏み状態が続いておりますが、中長期的には需要も戻り、大きな伸びが期待される分野です。

 上述のような理由から当第3四半期連結会計 期間中での売上は低迷致しましたが、当社の主力検査装置「WTS-577SR」につきましては、当第3四半期連結会計 期間において、新たに3社から新デバイス向けベンチマークの承認をいただくことができました。加えて当社の主力検査装置「WTS-577SR」につきましては、開発中である「WTS-577SX」のハイエンドリソースの一部の開発済みリソースをとりこむことで、日々進化する新デバイスに向けた検査の提供をお客様に行うことが可能となり、また同時にお客様の量産ラインでの高い評価をいただくことができました。

 第4四半期以降の半導体市場は、上述した世界半導体市場統計(WSTS)や日本貿易振興機構(JETRO)等の予想では、民生向け半導体(スマートフォン、PC向け半導体等)を中心として、生産調整は、出口が見える状況にあり、市況においても2024年にかけ徐々に回復すると報告されております。当社では、当第3四半期末現在においてもいまだ不足が叫ばれる産業用高速半導体を先行手配し、今期、来期における急な出荷要請にも耐え得る体制を準備しております。

 新しい挑戦として、2023年9月より中国における営業戦略を見なおし、今まで代理店営業に頼っていた体制から直接営業を中心とした営業体制への変更を実施し、第4四半期から翌期に向けて営業活動を進めてまいります。営業体制の見直しを受けて、当社の中国製造子会社「偉恩測試技術(武漢)有限公司」(以下、「ウインテスト武漢」という。)は、営業人事再編並びに顧客アクセスなどの向上を目的として、事務所を蘇州に移転しました。

 また、中国市場新戦略として、当社親会社「武漢精測電子集団有限公司」グループの子会社で、同じく半導体検査装置関連の事業を営む「上海精積微半導体技術有限公司」と、営業・技術方面で協力体制を取るべく準備を進めております。

 ウインテスト武漢におきましては、大阪事業所とともにQA(品質保証)の体制を見直し、最終組立工程の製造品質の向上に取り組み、中国国内市場での信頼構築と市場への深耕を図ってまいります。

2.技術開発の強化

 先端ロジックI/O(820Mbps)を搭載する検査装置に関しては、第1四半期に前倒しで一部機能のリリースを行い、第2四半期に新リソースを搭載したWTS-577SRを出荷、その他の新リソースは、引き続き開発を継続しております。

 次世代向け機能としてロジックパターンスピードが1,600Mbpsとなる高速リソースについて、第4四半期中に開発を終了する計画としたおりましたが、先端ドライバICなどの一部部材の入荷遅れなどを原因として、評価が伸びております。これら開発中(一部完了)の新リソースをフルに積んだ、「WTS-577SX」のお客様への提供は、社内での最終評価の終了次第、遅くとも2024年第1四半期となる予定です。更に次世代のフラッグシップ検査装置である「WTS-9000S」の開発に関しては、2024年8月に完成、リリースする計画であり、国内、台湾、中国顧客向けを想定した機能やGUIの開発を継続しており、搭載するソフトウエア環境などの使い勝手の向上も視野に入れ、市場への早期リリースができるように計画しております。

 また、新たな収益の柱を構築するための成長戦略として、当社グループがこれまで培ってきた検査技術や画像処理技術、高精度センサー技術、データ解析技術を応用し、且つ、当社及びウインテスト武漢の技術陣に加え、現地有力企業より営業方面・技術方面での協力体制を構築する予定です。それにより、2025年までに、今後市場拡大が見込まれるシステムオンチップ(SoC)市場や汎用デジタル市場等の検査分野、そしてM&Aも計画し、日本市場においても注目を集めるパワーデバイス検査分野への進出を目指し、この度あらたにパワーデバイス検査装置メーカーとパワーリソース開発などで協力体制取ることとなり、新規市場への参入、対応可能検査範囲の拡充と展開を行い、収益基盤の拡充に取り組んでまいります。

3.隣接領域の展開と製品化

 検査装置向け工場FA化機器技術(「自重補償機構技術」)については、学校法人慶應義塾大学慶應義塾先端科学技

術研究センターと共同開発を進めており、特許等の申請については、既にお知らせのとおり手続きは終了しております。当該技術は当社の検査装置とウエーハ搬送装置との間のドッキングアダプター(以下「ポゴタワー」という。)の着脱(約25㎏~30㎏)をオペレータ一人で簡単に安全に行うための補助アーム(以下「マニピュレータ」という。)です。当面の目標として、その搬送可能重量を50㎏前後で製品化を行います。現在は、製品の製造準備に取り掛かっており、先端ロボット等の開発製造をロボット等製造専門事業者様と協議を開始いたしました。また当該技術は、「半導体製造工場内FA化システム」、「物流搬送システム」並びに「介護等」への応用が可能と考えております。

 奈良県立大学と進めております脈波(BCG,ECG)を利用したヘルスケア管理システムは、同大学並びに株式会社TAOS研究所とアライアンスを組み、製品化を行いました。2023年3月9日に開示しました「IoTセンサーを活用したセルフヘルスケア機器の販売開始決定及び価格に関するお知らせ」に記載いたしましたとおり、2023年4月1日より一部のお客様を中心に試験販売を開始いたしました。なお、当該製品の製造に関しましては当社大阪事業所で製造を行っており、2023年9月から製造を開始、順次市場投入を計画しております。また、製品の納品後もアップデートによる機能の追加、検査項目の拡充を積極的に進め、地域医療に貢献できるようにしてまいります。なお、機器の詳細につきましては、当社WEBページをご参照ください。

財務施策

 財務面については、財務基盤の安定化を図るために、2023年9月15日開催の取締役会において、楽言海外国際(香港)有限公司を割当予定先とする第三者割当による新規株式の発行を行うことを決議し、2023年10月19日に約4億円の資金調達を実施しました。

 これにより、次世代検査装置の開発継続及び開発人員の強化資金、先端半導体向け検査市場への参入準備資金、並びに運転資金を確保することができました。今後とも、更なる財務基盤の安定化のために、親会社「武漢精測電子集団有限公司」と諮りながら、同グループ及び金融機関からの借入並びに資本増強等による資金確保についての施策を今後とも継続して実施してまいります。

 以上の施策をもって抜本的な改善をしていく予定でおりますが、アフターコロナ、テレワーク需要の減少などの影響で半導体市場は、在庫の積み上がりを嫌い、生産調整から設備投資の大幅な減退をうけ半導体市場は大きく低迷しております。当社がメイン市場とする海外の新規受注並びに受注済み検査装置の出荷、売上は、中国経済が上向くと見込まれる第4四半期以降となります。事業施策及び財務施策の実現可能性は市場の状況、需要動向等の今後の外部環境の影響を受けること、今後の資金調達についても確約されるものではないことから、現時点においては継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。

 なお、当四半期連結財務諸表は、継続企業を前提として作成されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を当四半期連結財務諸表に反映しておりません。

有価証券報告書-第30期(2022/01/01-2022/12/31)
(継続企業の前提に関する事項)

当社グループは前連結会計年度においては引合いのあった売上・受注時期がずれ込み業況は低調に推移した結果前連結会計年度における売上高は307,576千円となり営業損失730,710千円を計上親会社株主に帰属する当期純損失629,178千円を計上いたしましたなお営業キャッシュ・フローは856,085千円のマイナスとなりました

 当連結会計年度において当社グループの半導体検査装置事業については長期化するウクライナ情勢の影響が物流やエネルギーにまで及んできていることに加え中国において特に当連結会計年度上半期は新型コロナウイルス感染症の感染急拡大となり中国各地で広範囲のロックダウンが行われ加えて当連結会計年度下半期以降は中国市場における上半期の影響と主に先進国のテレワーク需要が急速に減少情報端末向け半導体部材のダブつきが発生することとなったため、半導体市況は急速に悪化しました。当社半導体製造顧客においても生産調整が急務となり工場稼働率を6割程度に減産せざるを得ないなど大きな影響を受け前連結会計年度にも増して営業活動やエンジニアの渡航は勿論中国国内の営業や技術者の移動も困難を極め営業活動と技術者による作業等に大きな制約が生じ結果当社グループの事業活動に大きな影響がありました。その結果、当社が予定していた、追加受注売上時期は次年度以降となる見込みとなりましたその結果当連結会計年度における半導体検査装置事業の売上高は207,470千円と低調に終わりました

 以上より当連結会計年度の売上高は210,315千円にとどまり営業損失693,502千円となり親会社株主に帰属する当期純損失を686,241千円計上しておりますまた営業キャッシュ・フローは613,481千円のマイナスとなりました

 上記のとおり継続的な営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスが発生している状況にあり当社グループには継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております

 当社グループはこうした状況を早期に解消又は改善すべく以下の対応策を継続して実施しております

事業施策

1.中国国内での受注販売活動の促進

 まず2022年下半期から顕在化したテレワークの終了や中国各地でのロックダウンの影響で最終製品の更新サイクルが鈍化し半導体チップ特にスマートフォンやPCそしてIT機器などの需要が大きく後退各半導体工場における在庫調整が発生市況は大きく後退していますこのような状況からIT需要の急減速を原因とした最終製品の在庫増が嫌気され薄型パネルを含めたPC等の組立用半導体部材の在庫調整を急ぐデザインハウスの計画修正を受ける形でOSAT は設備投資を抑制しており市場は新規設備投資に慎重な姿勢に変化していますしかし中期的に2023年以降の半導体市場は各国政府の進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)のさらなる進展や脱炭素化推進に向けた取り組み自動運転や5G6Gなどの高速通信環境がもたらす新しい世界(VRやメタバース)が急速に開発・開拓され広範な需要に支えられ伸長するものと想定されております

 また近年の半導体の複雑化や集積度向上(例線幅4nmから2nm)は半導体の機能の増加を意味し検査時間の伸長に繋がりますしかしながら同時に量産性も要求されるため半導体テスタ市場は装置能力の向上に加え装置台数の増加が期待される方向と考えております

 当社グループが主力装置と位置付けるLCDドライバIC検査装置は液晶パネルに使われるLCDドライバICの検査に使用されておりまたそれら情報端末ではLCDドライバICだけではなく当社が得意とするCMOSイメージセンサーICロジックICなど周辺半導体デバイスの需要も大きな伸びが期待される分野です当社の主力検査装置WTS-577SRにつきましては2021年から販売を開始し2022年時点において装置の貸出しを伴うベンチマークに積極的に取組みお客様から量産ラインへの投入評価をいただくことができましたが上述のような理由から新規の受注にはまだ至っておりませんこのことから受注済みの装置の出荷売上並びに国内顧客からの新規受注の一部は次年度以降を予定しております

 今後販売店戦略の見直し及び当社の当社100%出資中国製造子会社偉恩測試技術(武漢)有限公司(以下、「ウインテスト武漢」という。)との体制強化を行い受注残の早期納入海外営業と海外アフターサポート体制の強化を進め営業活動を見直してまいりますさらにウインテスト武漢においてはコストの削減と顧客対応力の両方を強化更なる最終組立工程の製造品質の向上に取り組み中国国内市場への深耕を図ってまいります中国市場攻略のスピードアップを進めるため大手優良デザインハウス数社に絞った戦略を取り営業納入サポートと一貫体制を敷き顧客からの信頼獲得を図ってまいりますまた2023年3月には、新たに日本有力企業並びに台湾企業との販売店契約なども新たに締結したことで、営業力の強化を図ってまいります。

2.技術開発の強化

 先端ロジックIC検査装置(1024チャンネル875Mbps)に関しては国内台湾中国顧客向けを想定した開発を継続しており多くの部分を現在開発中の次世代LCDドライバー検査装置と共用することでより広範囲のロジックIC検査に対応できるように計画し2023年度中には開発を完了する予定です

 また新たな収益の柱を構築するための成長戦略として2025年までに当社グループがこれまで培ってきた検査技術や画像処理技術高精度センサー技術データ解析技術を応用且つ大阪事業所の技術陣と協働し今後の市場拡大が見込まれるメモリーデバイス検査分野5Gとその後の6G通信規格の台頭とともに注目を集めるパワーデバイス検査分野への進出を目指しM&Aなども視野にシナジーの高い事業会社との資本・業務提携を積極的に進め当該分野への新規参入対応可能検査範囲の拡充と展開を計画収益基盤の拡充に取り組んでまいります

3.隣接領域の展開と製品化

 当社は、業務範囲の拡充を目的に、産学連携を行っております。

 検査装置向け工場FA化機器技術(「自重補償機構技術」)、当該技術については、学校法人慶應義塾大学慶應義塾先端科学技術研究センターと共同開発を進めており、特許等の申請については、既にお知らせのとおり手続きは終了しております。当該技術は当社の検査装置とウエーハ搬送装置との間のドッキングアダプター(以下「ポゴタワー」という。)の着脱(約25㎏~30㎏)をオペレータ一人で簡単に安全に行うための補助アーム(以下「マニピュレータ」という。)で製品化を目指しており、現在複数の製造工場と協議を行っており量産製造の準備を行っています。その後、応用製品として「半導体製造工場内FA化システム」、「物流搬送システム」や「介護等」への応用が可能と考えております。

 奈良県立大学と進めております脈波(BCG,ECG)を利用したヘルスケア管理システムは、同大学並びに株式会社TAOS研究所とアライアンスを継続、ご協力頂ける病院に試験設置検証を行った後、最終課題であったバイタルデータによる個人認証技術も確立し2023年3月9日に開示しましたように、4月1日より販売を開始いたします。販売に関する詳細につきましては、当社WEBページをご参照ください。

財務施策

 財務面については財務基盤の安定化を図るために2022年1月31日開催の取締役会において三田証券を割当先とする第三者割当による新株予約権の発行を決議し2022年12月31日までに新株予約権の行使によって417,642千円の資金調達を実施しましたまた当社グループとして当連結会計年度中に金融機関等から合計277,030千円の借入を行いました

 これにより今後の半導体検査装置事業に必要な中国における工場や拠点設立資金及び開発運転資金並びに新規事業の展開資金を確保するとともに併せて財務基盤の強化を図りましたまた昨今当社の検査装置に不可欠な半導体部品の大幅な納期遅延価格高騰を受けタイムリーな製造ができるように早期の部材仕入れを行った結果運転資金となる現預金が減少しておりますしかしながら前記の新株予約権行使による資金調達は昨今の株価低迷により当初計画した調達予定額に3億円程度未達で終了しましたので更なる財務基盤の安定化のためにこの度2023年1月13日開催の取締役会においてGFA株式会社を割当先とする第三者割当による新株予約権の発行を決議し2023年1月30日にその引受代金の払込も完了しその行使による運転資金の調達を見込んでいます今後とも筆頭株主である武漢精測と諮りながら同社及び金融機関からの資金調達の施策を継続して実施してまいります

 以上の施策をもって抜本的な改善をしていく予定でおりますが新型コロナウイルス禍による中国各地でのロックダウン及び半導体市場の生産調整などから設備投資の大幅な減退をうけ半導体市場は大きく低迷し当社がメイン市場とする海外受注並びに受注済み検査装置の出荷売上は中国のロックダウンが緩和される次年度以降となります事業施策及び財務施策の実現可能性は市場の状況需要動向等の今後の外部環境の影響を受けること前記の新株予約権による調達についても確約されるものではないことから現時点においては継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております

 なお、連結財務諸表は、継続企業を前提として作成されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を連結財務諸表に反映しておりません。

四半期報告書-第30期第3四半期(令和4年7月1日-令和4年9月30日)
(継続企業の前提に関する事項)

 当社グループは前連結会計年度において、昨今の半導体不足に端を発する有力顧客であるデザインハウス及び関係するOSAT(テストハウス)の稼働率低下を受けて売上・受注時期がずれ込み、売上高307,576千円と低調な結果となり、営業損失730,710千円、親会社株主に帰属する当期純損失629,178千円を計上しております。

 当第3四半期連結累計期間において当社グループの半導体検査装置事業については、特に中国での北京オリンピックの開催を契機とし新型コロナウイルス禍による規制にも緩和の方向で期待をしておりました。しかしその後、ゼロコロナ政策による部分的ロックダウンが発生し、売上計画の修正を余儀なくされました。その後、2022年の7月から8月にかけ封鎖が徐々に解除されたことから、当社は事業計画の変更を行い、営業活動並びに技術者の派遣を積極的に行ってまいりました。しかしながら、ロックダウンは、当初の想定を超え広範囲に渡って行われたため、当社顧客においてもその影響を強く受けるこことなりました。加えて、同時期に中国を除く各国が進めるウイズコロナ政策におけるテレワーク需要(パソコン等)、HPC(クラウド化に伴うサーバ台数増加)需要も一段落し、半導体市場は車載関連を除き、短期的と考えられておりますが、それらの組立に要する半導体部材がダブつくこととなり、製造会社、特にOSAT等の設備投資の見送りが発生し、このことから、当第3四半期連結累計期間は低調に推移いたしました。その結果、当第3四半期連結累計期間における半導体検査装置事業の売上高は136,036千円となりました。

 以上より、当社グループの連結ベース売上高は138,881千円にとどまり、半導体検査装置事業の利益率が低調であったこと及び労務費・販管費等も増加したことから、営業損失513,881千円となり、親会社株主に帰属する四半期純損失を488,214千円計上しております。

 上記のとおり、継続的な営業損失が発生している状況にあり、当社グループには継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社グループはこうした状況を早期に解消又は改善すべく、以下の対応策を継続して実施しております。

事業施策

1.受注販売活動の促進

 まず、2021年上期から顕在化していた半導体不足は2022年下半期以降において、いまだ終息の兆しは見えない状況ですが、上述のスマートフォン等情報端末の需要減と、IT需要の急減速を原因とした最終製品の在庫増が嫌気され、薄型パネルを含めた、PC等の組立用半導体部材の在庫調整を急ぐデザインハウスの計画修正を受ける形でOSATは設備投資を抑制しており、市場は新規設備投資に慎重な姿勢に変化しています。しかし、中期的に2022年から2023年の半導体市場は、各国政府の進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)のさらなる進展や脱炭素化推進に向けた取り組み、自動運転や5G、6Gなどの高速通信環境がもたらす新しい世界(VRやメタバース)が急速に開発・開拓され、広範な需要に支えられ伸長するものと想定されております。

 また、近年の半導体の複雑化や集積度向上(例、線幅4nmから2nm)は半導体の機能の増加を意味し、検査時間の伸長に繋がります。しかしながら、同時に量産性も要求されるため、半導体テスタ市場は、装置能力の向上に加え装置台数の増加を期待される方向と考えております。

 当社グループが「主力装置」と位置付けるLCDドライバIC検査装置は、液晶パネルに使われるLCDドライバICの検査に使用されており、また、それら情報端末ではLCDドライバICだけではなく、当社が得意とするCMOSイメージセンサーIC、ロジックICなど周辺半導体デバイスの需要も大きな伸びが期待される分野です。当社の主力検査装置WTS-577SRにつきましては、2021年から販売を開始し、2022年現時点において、装置の貸出しを伴うベンチマークに積極的に取組み、お客様から量産ラインへの投入評価を頂くことができましたが、上述のような理由から新規の受注にはまだ至っておりません。このことから受注済みの装置の出荷売上並びに、お知らせしました国内顧客からの新規受注の一部は、当社第4四半期連結会計期間以降を予定しております。

 今後、販売店戦略の見直し、及び当社の中国製造子会社「偉恩測試技術(武漢)有限公司」(以下、「ウインテスト武漢)という。)との体制強化を行い、受注残の早期納入、海外営業と海外アフターサポート体制の強化を進め、営業活動を見直してまいります。

 さらに、当社100%出資のウインテスト武漢においては、コストの削減と顧客対応力の両方を強化、更なる最終組立工程の製造品質の向上に取り組み、中国国内市場への深耕を図ってまいります。中国市場攻略のスピードアップを進めるため、大手優良デザインハウス数社に絞った戦略を取り営業、納入、サポートと一貫体制を敷き、顧客からの信頼獲得を図ってまいります。

2.技術開発の強化

 先端ロジックIC検査装置(I/O 1024チャンネル、875Mbps)に関しては、国内、台湾、中国顧客向けを想定した開発を継続しており、多くの部分を現在開発中の次世代LCDドライバー検査装置と共用することで、より広範囲のロジックIC検査に対応できるように計画し、年内には、コンパクトバージョンを、そして2023年第2四半期連結会計期間をターゲットとしてフルバージョンのリリースと販売を開始してまいります。

 また、新たな収益の柱を構築するための成長戦略として、2025年までに当社グループがこれまで培ってきた検査技術や画像処理技術、高精度センサー技術、データ解析技術を応用、且つ大阪事業所の技術陣と協働し、今後の市場拡大が見込まれるメモリーデバイス検査分野、5Gとその後の6G通信規格の台頭とともに注目を集めるパワーデバイス検査分野への進出を目指し、M&Aなども視野にシナジーの高い事業会社との資本・業務提携、並びに産学連携を積極的に進め、当該分野への新規参入、対応可能検査範囲の拡充と展開を計画、収益基盤の拡充に取り組んでまいります。

3.隣接領域への展開と製品化

 自重補償機構技術では、アフターコロナを経て、引き続き学校法人慶應義塾大学慶應義塾先端科学技術研究センター及び地元の機械加工製造会社を選定し最終製品化に向けて進めてまいります。自重補償機構技術による装置は、当社の検査装置とウェーハ又はハンドラーとのドッキングに使用する「マニピュレータ」で製品化を目指し、検査装置のポゴタワーと呼ばれる着脱補助装置とします。なお、基本設計、特許関連の手続きは終わっております。

 半導体IoTセンサー分野では、株式会社TAOS研究所(神奈川県横浜市港北区)及び奈良県立大学と進めております脈波を利用したヘルスケア管理システムは、2022年4月4日のお知らせのとおり2022年10月末を目途に製品化を行い、評価を兼ねて医療機関への設置を行っております。なお、販売に関しましては、お知らせのとおりTAOS研究所に一任する方向です。

財務施策

 財務面については、財務基盤の安定化を図るために、2022年1月31日開催の取締役会において、三田証券を割当先とする第三者割当による新株予約権の発行を決議し、2022年9月30日までに新株予約権の行使によって226百万円の資金調達を実施しました。また、2021年11月及び2022年2月に金融機関から合計200百万円の借入を行いました。

 これにより、今後の半導体検査装置事業に必要な中国における工場や拠点設立資金及び開発、運転資金並びに新規事業の展開資金を確保するとともに、併せて財務基盤の強化を図りました。また昨今、当社の検査装置に不可欠な半導体部品の大幅な納期遅延、価格高騰を受け、タイムリーな製造ができるように早期の部材仕入れを行った結果、運転資金となる現預金が減少しております。前記の新株予約権行使による資金調達は、確約されるものではないことから、更なる財務基盤の安定化のために、筆頭株主である武漢精測と諮りながら、同社及び金融機関からの借入、並びに資本増強等による資金確保についての施策を今後とも継続して実施してまいります。

 以上の施策をもって抜本的な改善をしていく予定でおりますが、冬季北京オリンピック後からの新型コロナウイルスの感染爆発による、中国各地でのロックダウン、その解除後は、半導体市場の生産調整などから、設備投資の大幅な減退をうけ半導体市場は大きく低迷し、当社がメイン市場とする海外受注並びに受注済み検査装置の出荷、売上は、第4四半期連結会計期間以降となります。事業施策及び財務施策の実現可能性は市場の状況、需要動向等の今後の外部環境の影響を受けること、前記の新株予約権による調達についても確約されるものではないことから、現時点においては継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。

 なお、当四半期連結財務諸表は、継続企業を前提として作成されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を当四半期連結財務諸表に反映しておりません。

四半期報告書-第30期第2四半期(令和4年4月1日-令和4年6月30日)
(継続企業の前提に関する事項)

 当社グループは前連結会計年度において、昨今の半導体不足に端を発する有力顧客であるデザインハウス及び関係するOSAT(テストハウス)の稼働率低下を受けて売上・受注時期がずれ込み、売上高307,576千円と低調な結果となり、営業損失730,710千円、親会社株主に帰属する当期純損失629,178千円を計上しております。また、営業キャッシュ・フローは税金等調整前当期純損失及び受注に対応する棚卸資産の増加等により、856,085千円のマイナスとなりました。

 当第2四半期連結累計期間において当社グループの半導体検査装置事業については、長期化するウクライナ情勢に加え、中国・台湾において新型コロナウイルス感染症が再拡大したため、上海をはじめとする中国主要都市でのロックダウンが開始されました。当該ロックダウンは、2022年6月から順次解除されたものの、前連結会計年度にもまして営業活動やエンジニアの渡航は勿論、中国国内の営業や技術者の移動も困難を極め、営業活動と技術者による作業等に大きな制約が生じ、結果、当社グループの事業活動に大きな影響を与え、受注、売上時期は第3四半期以降となる見込みとなりました。その結果、当第2四半期連結累計期間における半導体検査装置事業の売上高は107,414千円となりました。

 以上より、当社グループの連結ベース売上高は109,774千円、営業損失349,286千円となり、親会社株主に帰属する四半期純損失を325,120千円計上しております。また、営業キャッシュ・フローは、245,372千円のマイナスとなりました。

 上記のとおり、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあり、当社グループには継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社グループはこうした状況を早期に解消又は改善すべく、以下の対応策を継続して実施しております。

事業施策

1.中国国内での受注販売活動の促進

 まず、半導体検査装置業界では、長期化した中国各地でのロックダウンの影響による、スマートフォンやパソコン、テレビなど民生機器向け半導体の需要に陰りは見られるものの、テレワーク、リモートワークを含む社会のデジタル化は今後とも継続的に進展する見込みであり、特にデジタル化の中核をなすデータセンター、5G次世代通信規格向け機器需要や特に自動車関連向け半導体は依然として供給不足が叫ばれており、今後も当該市場の設備投資意欲は継続すると考えております。当社グループが「主力装置」と位置付けるロジック&LCDドライバーIC検査装置は、PC・タブレット、そしてスマートフォン等に多く使用されている各種半導体、とりわけ先端ロジックIC検査そして、LCDドライバーICの検査に使用されており、また、それら情報端末ではロジックやLCDドライバーICだけではなく、当社のもう一つの強みであるCMOSイメージセンサーICなどの検査需要も同時に大きく伸びると予想されます。

 このような状況を踏まえ、また中国各地でのロックダウンの解除や長期隔離期間(4週間から約10日間)が短縮されたことを受け、台湾販売店と共同での営業再開とアフターサポート体制の拡充を進めつつ、中国における同社の販売チャンネルを活かし、新規、既存顧客等複数企業からの受注販売活動を強化、促進してまいります。当社は、2021年前半に思い切った部材調達を行っておりますことから、部材不足に悩まされることなく、受注・販売を拡大することが出来ます。

次に、当社100%出資の中国子会社「偉恩測試技術(武漢)有限公司」(以下「ウインテスト武漢)という。)においては、製造コストの削減と顧客対応力を強化、さらにサポート品質を上げることでロックダウンの解除後、停滞した経済が再生を始めた中国国内市場への深耕を図ってまいります。また、ウインテスト武漢の営業とエンジニア両方のタッグによる「技術営業能力」の強化を行います。

 そして、さらなる当社事業の伸長を図るため、2022年3月に連続開示しましたように新設計の次世代スペックを持った「機能ボード」や「新製品」を市場に投入を進めており、下期に向け受注・売上の増大を図ってまいります。

 なお、当第2四半期末までに出荷を計画しておりました受注済の検査装置に関しましては、現在出荷を進めており本年度中にその一部の売上計上を行う予定であります。

2.技術開発の強化

 さらに、先端ロジックIC検査装置(1024チャンネル、250MHz)に関しては、国内、台湾、中国顧客向けを想定した開発を継続しており、多くの部分を現在開発中の次世代LCDドライバー検査装置と共用することで、より広範囲のロジックIC検査に対応できるように計画し、早ければ年内にも販売を開始してまいります。

 また、新たな収益の柱を構築するための成長戦略として、2025年までに当社グループがこれまで培ってきた検査技術や画像処理技術、高精度センサー技術、データ解析技術を応用、且つ大阪事業所の技術陣と協働し、今後の市場拡大が見込まれるメモリーデバイス検査分野、5G通信規格の台頭とともに注目を集めるパワーデバイス検査分野への進出を目指し、M&Aなども視野にシナジーの高い事業会社との資本・業務提携、並びに産学連携を積極的に進め、当該分野への新規参入、対応可能検査範囲の拡充と展開を計画、収益基盤の拡充に取り組んでまいります。

3.隣接領域への展開と製品化

 自重補償機構技術では、製品化に向けて製作製造会社の選定を進めており、引続き学校法人慶應義塾大学慶應義塾先端科学技術研究センターと共同制作を進めております。当該技術は被搬送物等の重量物の自重をキャンセルする機構を生かし、当社検査装置のポゴタワーの着脱補助装置として実用化します。基本設計、特許関連の手続きは終わり、2021年度中にプロトタイプの製作は完了、2022年度末を目指し製品化する計画です。

 奈良県立大学と進めております脈波を利用したヘルスケア管理システム(IoT見守り便座iWATCH)は、株式会社TAOS研究所と引続き、2022年10月末の製品化に向けて協業を進めております。製品の完成後の販売に関しましてはTAOS研究所に一任する方向です。

財務施策

 財務面については、折からの半導体不足が深刻さを増し、当社の検査装置に不可欠な半導体部品の大幅な納期遅延、大幅な価格高騰を受け、タイムリーな装置製造に支障がでる恐れがあるとの判断から、2021年前半に必要十分な部材仕入れを行った結果、運転資金となる現預金が減少しております。

 そこで、財務基盤の安定化を図るために、2021年11月に金融機関からの新規借入を行い、更に2022年1月31日に開催の取締役会において、三田証券を割当先とする第三者割当による新株予約権の発行を決議し、2022年2月21日にその払込も完了いたしました。これにより、今後の事業継続に必要な開発及び運転資金を確保するとともに、2022年後半から2023年の製造に必須となる製造部材の調達に必要な資金の確保及び財務基盤の強化を図っております。また、2022年2月28日には今後の運転資金需要に対応するため金融機関からの追加借入を行っておりますが、前記の新株予約権行使による資金調達を引続き行うとともに、筆頭株主である武漢精測と諮りながら、親会社及び金融機関からの借入や、子会社持ち分の見直し等による運転資金確保のための施策を実施してまいります。

 以上の施策をもって抜本的な改善をしていく予定でおりますが、冬季北京オリンピック後からの新型コロナウイルスの感染爆発が急速に進んだことから、中国各地でのロックダウンによる都市封鎖の影響を、当社顧客工場も色濃く受け、また当社検査装置と同時に設置される周辺機器の出荷遅れも重なり、当社検査装置の出荷、納品に予期せぬ時間を要することとなり、受注済み出荷売上は、第3四半期以降にずれ込むこととなったこと、事業施策及び財務施策の実現可能性は市場の状況、需要動向等の今後の外部環境の影響を受けること、新株予約権による調達についても確約されるものではないことから、現時点においては継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。

 なお、当四半期連結財務諸表は、継続企業を前提として作成されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を当四半期連結財務諸表に反映しておりません。